人間の少年と、人間でない少女のお話






スウリ





大人と子供が、大きな窓のある小さな部屋で話をしていました。

窓一面に広がる星空。

大きく輝くひとつ星を見て、子供は首を傾げました。


「あんな星、昨日はありませんでした」


その星は空にあるどんな星よりも大きくまぶしいほどに輝いていました。

世界の中心、神籠の真上で。

大人は不思議がってる子供にこたえます。


「あれはね、神星といって、神様が住んでいるといわれてるんだよ」

「そんな話初めてききました。他の人にもきいたことがないです」

「一億年に一度、しかも七日間しか姿を見られないから知ってる人の方が少ないよ。普段はずっとずっと遠くに在る」

「そうなんですか…」

「神籠の真上にいるだろう?あの星は絶対あそこにしかあらわれないんだ」


大人はその星をじっと見つめました。

子供は大人に質問をぶつけます。


「どうして七日間だけなんですか?」

「それだけで事足りるからだよ」

「どうして神籠の上で動かないんですか?」

「あそこが世界の中心にいるからだね」

「どうして地球にやってくるんですか?」

「この世界を視るために」


子供はやっぱりわかりません、と首を傾げます。


「きっと神籠の中から見たら素敵でしょうね」

「そうだね、でもあそこには誰も足を踏み入れてはいけない」

「世界政府が定めたことですもんね」

「ああ…でも実は一人だけ許されているんだ」


子供は興味が沸いたようで、パッと顔をあげます。


「どうして一人だけ許されているんですか?」



「少し長い話になりそうだけど…きく?」






それはいつだったろうか



何回目の神星が訪れたときのことだったろうか。



大人は記憶をたどりながら話し始めました。




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